スマホ対応に改善の余地を感じるECサイト担当者へ〜48歳ベテランエンジニアが語る“本質的な改善ポイント”〜
こんにちは。TRYANGLE フロントエンドグループの神田です。
私がインターネットに出会ったのは1997年。CGIやFlashが主流だった時代から、四半世紀にわたりWebに携わってきました。
当時は趣味でPCから閲覧するサイトを手作業で作っていましたが、今や閲覧の主役はスマホ。
レスポンシブ対応は当たり前となり、ECサイトでもスマホからのアクセスが80〜90%を占めるなど、PCを大きく上回る状況に変化しています。
そんなWebの進化を見続けてきた私だからこそ、「本当にスマホで“使いやすい”サイトになっているか?」という視点で見たときに、まだまだ改善の余地があると強く感じています。
スマホ対応は「できているつもり」になりやすい
前述のとおり、スマホ対応していないECサイトはほとんど見かけなくなりました。
しかし、「スマホで見られる」ことと「スマホで使いやすい」ことは別問題です。
実際には、システムの制約や運用方針の影響で、スマホユーザーにとって最適とはいえない体験になっているケースも多くあります。
だからこそ今、ユーザー体験やCVR向上を見据えた“もう一歩踏み込んだスマホ対応”が求められているのです。
改善実例紹介:「買いたい」を逃さない導線を商品詳細ページに
あるクライアントのECサイトで、商品詳細ページにおいて、下部に追従するカートボタンを実装しました。
商品詳細ページの目的はもちろん、商品をカートに入れてもらうことです。
そのためには、ユーザーが“今ほしい”と思った瞬間に迷わず行動できる導線設計が重要になります。
一般的にも上部に配置されたカートボタンのクリック率の方が高く、下部に設置している場合は低くなる傾向にあります。
それでも、情報を読み込んだ後の“次の一手”として、ページの終わりに自然にアクションがあることは、使いやすさにおいて大きな違いを生みます。
情報を一通り読んだあと、わざわざスクロールし直すことなく購入操作ができる。
その自然な流れの中に、ユーザーの“買う気持ち”を途切れさせない設計があるのだと感じます。
派手な仕掛けではなく、こうした細部の積み重ねこそが「使いやすさ」の本質ではないでしょうか。
さらに今回の実装では、「スクロール方向に応じた表示・非表示の制御」も取り入れました。
上スクロール時にはカートボタンを引っ込めて、画面を広く見せることで、ユーザーが再確認したい情報に集中しやすくしています。
これは、ブラウザアプリが上スクロール時にURLバーを再表示するUIと親和性が高く、操作感としても自然です。
加えて、以下のような工夫も行いました。
・アニメーションでボタン出現を明示
→ クリック可能な状態になったことが視覚的に伝わるように
・レイアウトシフト(※) を発生させない実装
→ スクロール中の誤操作やストレスを防ぐ
(※)ページの読み込み途中で、テキストや画像・ボタンなどの表示位置があとからズレてしまう現象
どれも小さな違いかもしれませんが、ユーザー体験全体としては確実に“ノイズ”を減らす要素になります。
商品詳細ページは情報量が多く、長いページになることが一般的です。
だからこそ、ユーザーが「これで納得」と思えたその瞬間に、自然とカートインできる設計が重要なのです。

関連記事
・カートボタンを商品一覧ページに設置する理由
・ デザインに込めたちいさな判断 – 長いページのデザイン
まとめ:ユーザー視点で“もう一歩”を
私自身もいちECサイトユーザーとして、まだ“ボタンをクリックする”ことすら新鮮だった頃からWebに関わってきたからこそ、小さな違いで使いやすさを実感します。
操作のしやすさやストレスの少なさといった「目に見えづらい体験」が、購買行動に大きく影響することもあるのです。
ベテランエンジニアとしての経験から言えるのは、そうした地道な改善こそが、長く愛されるECサイトをつくる確かな一歩になる、ということです。
TRYANGLEにご相談ください